父親から携帯に着信、腰の手術の件だろう。
父親:「おう、仕事中か?」
僕 :「仕事中だけど、大丈夫、なに?」
第一声は、意外と元気な感じだった。虚勢を張っているのか、今は腰は痛くないのか?仕事中だったけど席を外して、会話に集中することにした。
父親:「パソコンの調子が悪くてな、画面に英語の文字だけ出て、電源も切れない・・・」
僕 :「パ、パソコン?」
何の話かと思えば、パソコン?腰は痛くないの?立ち上がるのもつらいんでしょ?と、心の中で思ったが、そこは口に出さず、平静を装って、パソコン復旧の話をした。
結局いろいろ話を聞いたが、相手は驚異的なパソコン素人なので会話にならない。
電源ボタン長押し作戦で、再起動させた。
僕 :「で、腰の手術するんでしょ?そんなに痛いの?」
父親:「痛いよ、痛い。ブロック注射も効かなくなったから、手術したほうがいいかなと思ってなあ。」
どんな腰の手術するのかよくわからなかった
お医者さんからの説明されたことを話してくれたが、話があっち行ったりこっち行ったりして、これもまた、詳しい内容がよく呑み込めなかった。でも、骨が変形して神経を圧迫している、ということで手術を勧められたらしい。執刀してくれる先生も優秀で、そんなに難しい手術でないこともあり、決断したらしい。
僕 :「事前に相談してくれたら、一緒にお医者さんの話聞けたのに・・・」
父親:「そのままにしておくと、将来、車いすが必要になったり、起き上がれなくなったりして、みんなに迷惑かけると申し訳ないからな。体力あるうちに手術したほうがいいと思ってな。」
将来、周りに迷惑かけないために、腰の手術を決断したんだ
僕たちのことも考えて決断したんだ。僕はちょっとうるっと来た。
父親:「簡単な手術らしいから、仕事忙しければ、無理して帰らなくていいからな。すぐに退院できるらしいし。」
僕 :「いや、大丈夫。母さんが心細いから帰って来てほしいって言うから、帰るよ。」
父親:「そうか、わかった。それじゃ、またな。」
毎年、お盆とお正月しか、帰省できていない。
ろくな親孝行もできていないのに、こういう家族の一大事に帰らなくてどうする!
僕は、速攻で上司に説明して休暇願を出した。上司も(おそらく)快く了解してくれた。
「父ちゃん、僕帰るから。安心して手術して、また元気になってくれ!」